消火後の家を見ても、全焼しているかどうかご自身では判断しづらいです。
「半焼だと思っていたら、全焼だった」「全焼だと思っていたら、半焼だった」ということがしばしば起こります。また、消防署の全焼の定義と保険会社の定義が違います。
そこで今回は、「消防署」と「保険会社」の全焼の定義をそれぞれご説明します。
1.全焼の定義を理解するのに必要な用語
全焼の定義を理解する上で、下記の3つの用語を覚えておいてください。
1-1.火災損害
1-2.焼き損害
1-3.消火損害
1-1.火災損害
消防署・保険会社ともに、火災損害を基にして、「ぼや」「部分焼」「半焼」「全焼」を判断します。火災損害とは、火事によって被った直接的損害です。「火災損害=焼き損害+消火損害」で表されます。 消火にかかった経費等の損害は含まれません。間接的損害です。
1-2.焼き損害
火事によって焼けた物の損害のことです。具体的には、下記のような損害です。
- 焼けた住宅設備
- 焼けた家財
- 高温によって壊れてしまった壁や家財
- 火事によって変色してしまった床や壁
1-3,消火損害
消火活動によって被った損害のことです。具体的には、下記のような損害です。
- 放水によって空いた壁の穴
- 放水によって生じた水漏れ
- 放水によって生じた漏電
2.それぞれの全焼の定義
それでは、「消防署」と「保険会社」が定める全焼の定義をご説明いたします。
全焼と半焼の比較はこちらの記事をご覧ください!
全焼と半焼の違いを誰にでも分かるように解説!
2-1.消防署の全焼の定義
下記のどちらかを満たすと、消防署に全焼と判断されます。
1.建物の焼き損害額が火災直前の建物評価額の70%以上の場合
2.残存部分に補修を加えても再使用できない場合
1の条件を満たしていなかったとしても、消火損害が甚大だと、補修を加えても再使用できません。その場合は、2の条件を満たすため、全焼と判断されます。
消防署は焼損を決定した際罹災証明書を発行します。
詳しくはこちらをご覧ください。
火事後に必要な「罹災証明書」って何?申請方法と必要な場面を解説!
2-2.保険会社の全焼の定義
火災保険を使って原状回復をする場合、消防署とは別で保険会社が独自で、全焼しているか判断をします。ただ、保険会社自身が判断をすると偏った判断になってしまいます。そのため、保険会社が委託している外部の鑑定人が中立的な立場から全焼しているか判断を下します。 下記のいずれかを満たすと、保険会社に全焼と判断されます。
1.消防署に建物が全焼したと判断された場合
2.延べ面積の70%以上が損害を受けている場合
3.原状回復費用が加入している火災保険の保険金を超えた場合
4.火災損害額が加入している火災保険の保険金の80%を超えた場合
3と4の条件は、消防署に全焼と判断されなくても、保険会社は全焼と判断する場合があります。
2-2-1.条件3を満たす可能性があるケース
下記のどちらかを満たすと、消防署には全焼と判断されていないのに、条件3を満たす可能性があります。
- 加入している火災保険の保険金が、火災直前の建物評価額の69%未満の場合
- 家の構造が特殊で、原状回復費用が高額な場合
2-2-2.条件4を満たす可能性があるケース
下記のどちらかを満たすと、消防署には全焼と判断されていないのに、条件4を満たす可能性があります。
- 加入している火災保険の保険金が、火災直前の建物評価額の5%未満の場合
- 消火損害が甚大な場合
3.過去に全焼と認定された事例
消防署または保険会社に全焼と認定された過去の事例をご紹介します。
全焼と認定された際の保険金支給額はこちらをご覧ください!
火事で家が全焼!支給される保険金はどれくらい?
3-1.火災直前の建物評価額2,000万円・焼き損害額1,750万円・消火損害額155万円・原状回復費用2,340万円・加入している火災保険の保険金3,000万円
焼き損害額は火災直前の建物評価額の87.5%です。消防署が定める全焼判断基準の70%を越えているため、消防署に全焼と判断されました。保険会社の全焼基準も同時に満たしました。
3-2.火災直前の建物評価額1,500万円・焼き損害額870万円・消火損害額105万円・原状回復費用1150万円・加入している火災保険の保険金1200万円の事例
焼き損害額は火災直前の建物評価額の58%です。消火損害も甚大ではなかったため、補修すれば再使用できました。消防署が定める全焼判断基準を満たせなかったため、消防署に全焼と判断されませんでした。しかし、火災損害額が加入している火災保険の保険金の81.3%です。保険会社が定める全焼判断基準の80%を超えたため、保険会社には全焼と判断されました。
3-3.火災直前の建物評価額2,900万円・焼き損害額1,050万円・消火損害額160万円・原状回復費用2,020万円・加入している火災保険の保険金1,750万円の事例
焼き損害額は火災直前の建物評価額の36.2%です。消火損害も甚大ではなかったため、補修すれば再使用できました。消防署が定める全焼判断基準を満たせなかったため、消防署に全焼と判断されませんでした。しかし、原状回復費用が加入している火災保険の保険金を上回りました。保険会社が定める全焼判断基準を満たしたため、保険会社には全焼と判断されました。
3-4.火災直前の建物評価額1,200万円・焼き損害額260万円・消火損害額590万円・原状回復費用920万円・加入している火災保険の保険金1,000万円の事例
焼き損害額は火災直前の建物評価額の21.7%です。消火損害も甚大ではなかったため、補修すれば再使用できました。消防署が定める全焼判断基準を満たせなかったため、消防署に全焼と判断されませんでした。しかし、消火損害額が大きかったため、火災損害額が大きくなりました。火災損害額が加入している火災保険の保険金の85%です。保険会社が定める全焼判断基準を満たしたため、保険会社には全焼と判断されました。
4.全焼の定義に関する間違った噂
「柱一本でも残ると、保険会社に全焼と認定されない」と思っている人がいます。しかし、ご安心ください。それは間違いです。以前放送していたドラマの影響で、こういった噂が流れてしまったようです。条件を満たせば、保険会社は全焼と認めてくれます。
まとめ.全焼の定義は「消防署」と「保険会社」で違う!
消防署と保険会社で全焼の定義が違います。「全然燃えていないのに、保険会社に全焼と判断された」ということがあります。ご自身で勝手に判断をせずに、保険会社から派遣されてくる鑑定人の判断を聞いてください。
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