延焼した場合、隣家に対して絶対に取らなくてはいけない手続きがございます。
ただ、「重過失の有無」と「加入している火災保険の内容」によって手続きが異なります。
そこで今回は、隣家に延焼してしまった時に取るべき手続きを徹底解説いたします。
1.隣家に延焼した後の火災保険手続き:重過失がない場合
あなたが加入している火災保険に下記のいずれかの特約が付帯されているか確認してください。
いずれかを付帯していた場合、隣家が受けた損害を一部または全額補償できます。
1.失火見舞費用保険金
2.類焼損害補償特約
1-1.失火見舞費用保険金を付帯していた場合
失火見舞費用保険金の請求手続きをしてください。
あなたが加入している保険会社から隣家にお見舞金が支給されます。
お見舞金支給額は30万円です。無条件で支給されるお金のため、隣家は見積書提出等の面倒な手続きをする必要はございません。
※お見舞金支給総額(=30万円×被災世帯)が契約している保険金の30%を上回った場合、契約している保険金の30%÷被災世帯がお見舞金として支給されます。
1-2.類焼損害補償特約を付帯していた場合
隣家に火災保険に加入しているかご確認ください。
隣家が火災保険に加入していた場合、隣家が加入している火災保険でカバーしきれなかった分を補償できます。隣家には自身が加入している保険会社に保険金の請求手続きを取ってもらってください。カバーしきれない分があると分かったら、火元は自身が加入している保険会社に「類焼損害補償特約」を使用する旨をお伝えください。隣家に火元側の保険会社から連絡がいきます。隣家に見積書提出等の請求手続きをしてもらうことによって、補償金が支給されます。
隣家が火災保険に加入していなかった場合、隣家の原状回復費用の2,000万円までを補償できます。隣家に火元側の保険会社へ保険金請求手続きを取ってもらうことによって、補償金が支給されます。
1-3.特約付帯なし
隣家に対して補償ができません。隣家が失火責任法の存在を知らない場合、「原状回復費を払え」と言われることがあります。しかし、1円も支払う義務はありません。誠心誠意謝罪をして、許してもらいましょう。
2.隣家に延焼した後の火災保険手続き:重過失があった場合
加入している火災保険に「個人賠償責任特約」を付帯しているかご確認ください。
損害賠償請求をされた場合、賠償金を保険会社が支払ってくれます。
※「失火見舞費用保険金」または「類焼損害補償特約」を付帯していても、火元が加入している保険会社から隣家には1円も支給されません。
重過失の認定条件はこちらをご覧ください!
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2-1.個人賠償責任特約を付帯していた場合
個人賠償責任特約の申請手続きをしてください。
火元が支払わなくてはいけない賠償金が補償されます。裁判所が発行する損害賠償金を証明する書類を保険会社に提出することによって、補償金が支給されます。
※個人賠償特約には、保険会社ごとに上限が定められています。上限以上は持ち出しで支払わなくてはいけません。
2-2.個人賠償責任特約付帯なし
火元が自身の財布から支払わなくてはいけません。支払えない場合は、財産を差し押さえられてしまいます。それでも支払いきれない場合は、分割で支払っていかなくてはいけません。
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3.延焼した後の火災保険手続きでよく起こる隣家とのトラブル
延焼した後の火災保険手続きをでよく起こる隣家とのトラブルは下記の4つです。
1.失火見舞金ではカバーしきれない
2.類焼損害補償特約でもカバーしきれない
3.隣家が自分の火災保険を使いたがらない
4.賠償金が支払われるまで隣家が待てない
これら4つのトラブルの概要と解決策をご説明いたします。
3-1.トラブル1:失火見舞金ではカバーしきれない
「トラブルの概要」と「解決策」は下記の通りです。
3-1-1.トラブルの概要
失火見舞費用保険金だけでは、隣家に最大30万円しか支給されません。隣家の原状回復費用をお見舞金でカバーしきれないケースがほとんどです。その際、「少し原状回復費用を出してくれないか?」という話になります。キッパリ断れれば問題は起きません。しかし、一度支払ってしまうと、追加で何度も請求されるというケースがあります。火事とは関係なく壊れた物を火事のせいにして請求してくる人もいます。
3-1-2.解決策
1円も渡さないのが最善の解決策です。
重過失と認定されていないのなら、あなたが責任を負う必要はありません。失火責任法によって定められています。万が一しつこく請求してきた場合は、恐喝と同じですので、警察に通報して解決してもらいましょう。
失火責任法の説明はこちらをご覧ください!
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3-2.トラブル2:類焼損害補償特約でもカバーしきれない
「トラブルの概要」と「解決策」は下記の通りです。
3-2-1.トラブルの概要
隣家が延焼で全焼してしまった場合、隣家が火災保険に加入していなければ、類焼損害補償特約で全額補償できないケースがあります。類焼損害補償特約は、上限を2,000万円に設定している保険会社が多いです。全焼した場合、建て替えに2,000万円以上かかります。3,000〜4,000万円かかることも少なくありません。その際は、1,000万円以上を隣家が持ち出しで支払わなくてはいけません。「資金がなくて建て替えられないから少し払ってくれ」と言ってくるケースがあります。
3-2-2.解決策
3-1-2のトラブル1の解決策と同様で、お金を支払わないのが最善の解決策です。個人間での金銭のやり取りはトラブルの元です。
3-3.トラブル3:隣家が自分の火災保険を使いたがらない
「トラブルの概要」と「解決策」は下記の通りです。
3-3-1.トラブルの概要
類焼損害補償特約を使う際によく起こります。類焼損害補償特約は、隣家の火災保険で補償されない分を補償する特約です。隣家が自身の保険を使わなければ、使用できません。しかし、今後の保険料が上がるのを嫌がり、隣家が自分の保険を使いたがりません。
3-3-2.解決策
「類焼損害補償特約では、隣家が加入している保険でカバーしきれなかった分しか補償できない」という旨を伝えましょう。大抵の人は自分の保険を使ってくれます。ただ、それでも隣家が自分の保険を使いたがらない場合は、どうしようもありません。「自分の保険を使うから、類焼損害補償特約を使って欲しい」と隣家から言われるまで待ちましょう。
3-4.トラブル4:賠償金が支払われるまで隣家が待てない
「トラブルの概要」と「解決策」は下記の通りです。
3-4-1.トラブルの概要
重大な過失があって延焼した場合、隣家は賠償金で原状回復をします。しかし、賠償金が支払われるには民事裁判をしなくてはいけないため、支払いまでに1年程度かかります。隣家の資金が不足していた場合、隣家は原状回復工事の開始を1年近く待たなくてはいけません。「一時的でいいから、お金を出してくれ」としつこく言ってくるケースがあります。
3-4-2.解決策
隣家と直接金銭のやり取りをするのは絶対に避けましょう。
裁判所から支払い命令が出た後に、弁護士を介して支払うようにしましょう。「重過失がある」という負い目を感じて支払いそうになるかもしれませんが、キッパリと断ってください。直接金銭のやり取りをした場合、「契約書の漏れ」「契約書を交わさなかった」等の不手際が起きるため、トラブルに発展しやすいです。
まとめ.隣家に延焼した後の火災保険手続きは慎重に!
隣家に延焼した後の火災保険手続きは、付帯している特約によって変わってきます。自分がどのような特約を付帯しているかしっかり確認してから手続きを進めましょう。
また、隣家と直接金銭のやり取りをするのはトラブルの元です。延焼した負い目を感じても、お金は渡さないようにしましょう。お金を渡す場合は、弁護士を介しましょう。
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