消防署と保険会社で焼損の定義が異なります。
「半焼だと思っていたら、保険会社に部分焼と認定された」ということがしばしば起きます。
そこで今回は、消防署が定める焼損の定義と保険会社が定める焼損の定義を分かりやすく解説していきます。
1.半焼の定義
半焼といっても家の半分が焼けていたら、半焼というわけではありません。一定の基準を満たしたら、半焼と認定されます。消防署を保険会社が定める半焼の定義は下記の通りです。
全焼と半焼の違いはこちらをご覧ください!
全焼と半焼の違いを誰にでも分かるように解説!
1-1.消防署が定める半焼の定義
下記の条件を両方満たすと、消防署は半焼と認定します。
1.建物の焼き損害額が火災直前の建物評価額の20%以上である
2.全焼とは認定されない
消防が認定した被災度合いは罹災証明書によって証明されます!
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1-2.保険会社が定める半焼の定義
家が半焼した場合、基本的に保険会社では「大半損」または「小半損」と認定されます。「大半損」と「小半損」の定義は下記の通りです。
※火災損害額=焼き損害額+消火損害額です。引越しにかかった費用等は含まれません。
1-2-1.大半損
下記のいずれかを満たすと大半損と認定されます。
1.延べ面積の50%以上70%未満が焼損した
2.火災損害額が火災直前の建物評価額の60%以上80%未満だった
1-2-2.小半損
下記のいずれかを満たすと小半損と認定されます。
1.延べ面積の20%以上50%未満が焼損した
2.火災損害額が火災直前の建物評価額の30%以上60%未満だった
2.部分焼の定義
消防署と保険会社が定める部分焼の定義は下記の通りです。
2-1.消防署が定める部分焼の定義
下記の条件を全て満たすと消防署に部分焼と認定されます。
1.建物の焼き損害額が火災直前の建物評価額の20%未満である
2.半焼と認定されない
3.ぼやと認定されない
2-2.保険会社が定める部分焼の定義
部分焼の場合、基本的に保険会社からは一部損と認定されます。下記のいずれかを満たすと一部損と認定されます。
1.延べ面積の20%未満が焼損した
2.火災損害額が火災直前の建物評価額の10%以上30%未満だった
※部分焼でも小半損または大半損と認定されるケースもございます。
3.ぼやの定義
消防署と保険会社が定めるぼやの定義は下記の通りです。
3-1.消防署が定める定義
下記の条件を両方満たすと消防署にぼやと認定されます。
1.建物の焼き損害額が火災直前の建物評価額の10%未満である
2.延べ面積1㎡未満が焼損した
3-2.保険会社が定める定義
ぼやの場合、基本的に一部損と認定されます。部分焼の定義で記載している条件と全く同じです。
4.「半焼」「部分焼」「ぼや」と過去に認定された事例
「半焼」「部分焼」「ぼや」と認定された事例を合計5つご紹介します。
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4-1.事例1:火災直前の建物評価額1,400万円・焼き損害額850万円・消火損害額75万円
焼き損害額は火災直前の建物評価額の60.7%です。補修すれば再使用が可能だったため、消防署には半焼と認定されました。消防署が定める半焼基準を満たしました。また、火災損害額は火災直前の建物評価額の66.1%であるため、保険会社には大半損と認定されました。
4-2.事例2:火災直前の建物評価額2,100万円・焼き損害額820万円・消火損害額150万円
焼き損害額は火災直前の建物評価額の39%です。補修をすれば再使用できましたため、消防署には半焼と認定されました。また、火災損害額は火災直前の建物評価額の46.2%であるため、保険会社には小半損と認定されました。
4-3.事例3:火災直前の建物評価額2,900万円・焼き損害額600万円・消火損害額190万円
焼き損害額は火災直前の建物評価額の20.7%です。補修をすれば再使用できたので、消防署には半焼と認定されました。しかし、消火損害が190万円と小さかったため、火災損害額が火災直前の建物評価額の27.2%になりました。焼失した延べ面積も20%未満だったため、保険会社には一部損と認定されました。
4-4.事例4:火災直前の建物評価額1,600万円・焼き損害額150万円・消火損害額370万円
焼き損害額は火災直前の建物評価額の9.4%です。ただ、焼失した延べ面積は1㎡よりも大きかったため、消防署には部分焼と判定されました。しかし、消火損害が370万円と非常に大きかったため、火災損害額が火災直前の建物評価額の32.5%になりました。保険会社には小半損と判断されました。
4-5.事例5:火災直前の建物評価額1,100万円・焼き損害額25万円・消火損害額10万円
焼き損害額は火災直前の建物評価額の2.3%です。焼失した延べ面積も1㎡未満だったので、消防署には「ぼや」と認定されました。火災損害額は火災直前の建物評価額の3.2%だったため、保険会社が定める一部損の火災損害額の条件は満たせません。しかし、火事が起きた時点で延べ面積の条件は満たすため、保険会社には一部損と認定されました。
5.「半焼」「部分焼」「ぼや」の定義で勘違いが起きるポイント
勘違いがよく起きるポイントが下記の2つです。
1.消火損害が大きい場合
2.消火損害が小さい場合
5-1.ポイント1:消火損害が大きい場合
消防署の評価より保険会社の評価の方が重くなりがちです。消防署は焼き損害額で評価をしますが、保険会社は火災損害額で評価をするからです。「消防署には部分焼と認定されたけど、保険会社には小半損と認定された」というケースがあります。
5-2.ポイント2:消火損害が小さい場合
消防署の評価より保険会社の評価の方が軽くなりがちです。焼き損害は20%を超えていたら、消防署では半焼と認定されます。しかし、消火損害が少ないせいで火災損害が30%を超えなかった場合、部分焼と認定されてしまいます。
「半焼」「部分焼」「ぼや」が起きた後の手続きはこちらをご覧ください!
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