火事が起きたら、色々と出費が増えます。
加入している火災保険でカバーできたら、家財や建物の原状回復費といった大きな出費は防げます。しかし、カバーできない分は、実費で原状回復しなくてはいけません。
そういうときのために、所得税の減免制度を国は作っています。また、地方自治体によっては住民税・固定資産税・自動車税等の減免制度があります。
全焼後の手続きはこちら!
火事で家が全焼!必ず取らなくてはいけない手続きを徹底解説!
「半焼」「部分焼」「ぼや」が起きた後の手続きはこちら!
家が火事に!「半焼・部分焼・ぼや」した後の手続きを徹底解説!
1.火事後に税金を控除する方法
下記のいずれか方法を選択して、所得税の減免がおこなえます。
1.雑損控除
2.災害減免法
より多く減免できる方を選択して、手続きをおこなってください。
1-1.控除方法1:雑損控除
火事による住宅・家財等の生活用資産の純損害額が所得の10%を超えた場合、その超えた分を所得から差し引いて、所得税の計算ができます。 ※純損害額=損害金額−(保険金+賠償金) 雑損控除を受けられる資産の所有者は、「納税者」か「納税者と家計をともにする総所得38万円未満の配偶者・親族」のみです。
簡単に説明すると、下記の通りです。
持ち家の場合は、「家の所有者」か「総所得38万円未満の同居している親族」が、住宅・家財等の生活用資産の雑損控除を受けられます。
賃貸マンションの場合、「借家人」か「総所得38万円未満の同居人」が、住宅を除く生活用資産にのみ雑損控除を受けられます。住宅は自身の資産ではないため、住宅の雑損控除は受けられません。 ※生活用資産とは、住宅・家具・衣服等の生活に必要な物のことです。別荘・貴金属・絵画・30万円以上の骨董品などは含まれません。娯楽品として見なされます。
1-1-2.雑損控除額
下記のいずれか大きい方が雑損控除として認められます。
1.差引損失額—総所得金額×10%
2.火災関連支出金額—5万円
※火災保険に加入していないのに家が全焼した場合等は、控除額が大きくなります。その際は、最大3年間の繰越ができます。 ※火災支出関連金額とは、家を取り壊さなくてはいけなくなった際の住宅・家財の取り壊し費用のことです。
1-1-3.差引損失額の計算方法
差引損失額=損害金額+火災に関連したやむを得ない支出額—(保険金+賠償金)
※損害金額は、火災によって損害を受けた資産額です。元々の資産は火災直前の時価で計算されます。
※火災に関連したやむを得ない支出金額=火災関連支出額+盗難によって受けた被害額
1-2.控除方法2:災害減免法
火災による純損害額が火災直前の時価の半分以下かつ火災があった年の合計所得が1,000万円以下の場合、所得税の一部または全額が免除されます。免除の割合は、合計所得に応じて変化します。 合計所得〜500万円の場合、所得税の全額免除 合計所得500〜750万円の場合、所得税の2分の1免除 合計所得750〜1,000万円の場合、所得税の4分の1免除
※合計所得=総所得+土地に関わる雑所得+株式の売買損益+先物取引の損益+退職金です。株式の売買・先物取引の損益はマイナスもありえます。
2.火事後の税金控除はどちらの減免方法がおすすめ?
被害状況や合計所得が一人一人違うため、どちらの減免方法がオススメとは言い切れません。一度計算して、免除額が大きくなる方を選びましょう。 傾向としては、大きな火事になるほど、雑損控除で減免する方が、免除額は大きいです。
※合計所得が1,000万円を超えると災害減免法で減免できませんので、ご注意ください。
3.火事後の税金控除額が大きいのは?減免方法を比較
「雑損控除」と「災害減免法」ではどちらの減免方法が税金控除額が多いのか、今からご紹介する4つの具体例で比較してみます。
※所得税は超累進課税方式で計算します。
3-1.総所得400万円の人が火事に遭って、損害金額70万円・火災関連支出金額40万円・保険金支給額50万円の場合(合計所得も400万円とする)
雑損控除または災害減免法のいずれかで減免ができます。
3-1-1.雑損控除:差引損失額—総所得金額×10%で計算
(70万円+40万円—50万円)—400万円×10%=20万円
3-1-2.雑損控除:火災関連支出金額—5万円で計算
40万円—5万円=35万円
3-1-3.災害減免法で計算(所得税は3万円)
37.4万円全額控除
3の災害減免法で計算すると、控除額が大きくなります。37.4万円が所得税から控除されます。
3-2.総所得700万円の人が火事に遭って、損害金額400万円・火災関連支出金額150万円・保険金支給額100万円の場合(合計所得も700万円とする)
雑損控除または災害減免法のいずれかで減免ができます。
3-2-1.雑損控除:差引損失額—総所得金額×10%で計算
(400万円+150万円—100万円)—700万円×10%=380万円
3-2-2.雑損控除:火災関連支出金額—5万円で計算
150万円—5万円=145万円
3-2-3.災害減免法で計算(所得税は4万円)
97.4万円×1/2=48.7万円
1で計算すると、控除額は一番大きくなります。380万円が所得税から控除されます。
3-3.総所得900万円の人が火事に遭って、損害金額150万円・火災関連支出金額250万円・保険金支給額150万円の場合(合計所得も900万円とする)
雑損控除または災害減免法のいずれかで減免ができます。
3-3-1.雑損控除:差引損失額—総所得金額×10%で計算
(150万円+250万円—150万円)—900万円×10%=160万円
3-3-2.雑損控除:火災関連支出金額—5万円で計算
250万円—5万円=245万円
3-3-3.災害減免法で計算(所得税は143万円)
143万円×1/4=35.8万円
2で計算すると、控除額は一番大きくなります。245万円が所得税から控除されます。
3-4.総所得1,500万円の人が火事に遭って、損害金額220万円・火災関連支出金額50万円・保険金支給額150万円の場合(合計所得も1,500万円とする)
合計所得が1,000万円を超えているため、災害減免法での減免はできません。雑損控除でしか減免できません。
3-4-1.雑損控除:差引損失額—総所得金額×10%で計算
(220万円+50万円—150万円)—1,500万円×10%=70万円
3-4-2.雑損控除:火災関連支出金額—5万円で計算
50万円—5万円=45万円
1で計算すると、控除額は一番大きくなります。70万円が所得税から控除されます。
4.火事後に所得税控除を申請するなら税務署に!!
所得税の減免申請をするには、確定申告をする必要があります。2月16日〜3月15日の間に、減免申請をしてください。
「雑損控除」「災害減免法」で所得税を控除する際に必要書類はそれぞれ下記の通りです。
4-1.雑損控除する際の必要書類
必要書類は下記の4つです。
- 火災関連支出の領収書
- 消防と警察が発行する被害額届出用証明書
- 火災に関連したやむを得ない支出の領収書
- 罹災証明書
4-2.災害減免法を使用する際の必要書類
必要書類は下記の3つです。
- 損害額の明細書
- 源泉所得税の徴収猶予・還付申請書
- 罹災証明書
5.火事後に控除できる税金は地方自治体によって異なる
どの地域に住んでいても、火事が起きたら所得税の控除は受けられます。
所得税以外の税金は、地方自治体ごとに違います。例えば、東京都の場合、固定資産税・住民税・自動車税の減免が受けられます。
お住まいの地域の市役所課税課に電話をして聞いてみてください。減免申請をする際は、損害額の明細書と罹災証明書は必ず持参してください。
火事手続きPROは減免申請手続きを完全無料でサポートいたします。お気軽にお問い合わせください!
TEL:03-6869-5178(24時間365日受付)
[…] 火事後の税金に関する詳しい情報はこちら! […]
[…] 全焼した後の税金に関する情報はこちら! […]
[…] 火事が起きた後の税金控除方法はこちら! […]