重過失による火事と認定される条件をご存知ですか?
通常のもらい火であれば、火元への損害賠償請求はできません。
しかし、火元の重過失による火事でもらい火をした場合は、損害賠償請求ができます。加入している保険でカバーできなかった分を下記のいずれかの方法で火元に補償してもらえます。
1.火元の実費
2.火元が加入している個人賠償責任特約
そこで今回は、「どのような事例が重過失として認められるのか」「どのような事例が重過失として認められないのか」徹底解説いたします。
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1.重過失による火事と認定される事例
注意を払わなくてはいけない場面で、注意を怠ったのが原因で火事が起きた場合、重過失と認定される確率が高いです。
重過失による火事と高い確率で認定される事例は下記の3つです。
1.大量の油を加熱放置
2.暖房器具の近くに燃えやすい物を放置
3.寝タバコ
重過失による火事と認定された場合は重失火罪に問われます!
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1-1.事例1:大量の油を加熱放置
大量の油を加熱しているのに、目を離して火事が起きた場合、重過失として認定されます。
大量の油を加熱している最中は、注意を払わなくてはいけない場面です。
ただし、ご自身の目で確認していて、火事が起きてしまった場合は、重過失と認定されません。
1-2.事例2:暖房器具の近くに燃えやすい物を放置
具体的には、下記が原因で火事が起きた場合です。
- ストーブの近くに布団を置いていた
- ストーブの近くに蓋の閉まっていない石油を置いていた
- キッチンコンロの近くに書類を置いていた
1-3.事例3:寝タバコ
布団やベッドの上でタバコを吸っていたのが原因で火事が起きた場合は、重過失と認定されます。
燃えやすい寝具の上でタバコを吸うのは、注意を怠ったとみなされます。
2.重過失による火事と認定されない事例
火の注意を払わなくてもいい場面で、注意を怠ったせいで火事が起きた場合、重過失による火事と認定される確率が高いです。
高い確率で重過失と認定されない事例は下記の2つです。
1.料理中
2.リビングで吸っていたタバコの消し忘れ
2-1.事例1:料理中
料理中にキッチンで火事が起きた場合は、重過失として認定されません。
その場から離れていないので、不可抗力の火事と認定されます。
2-2.事例2:リビングで吸っていたタバコの消し忘れ
燃えやすい物が置かれている部屋ではないので、重過失として認定されません。ベットや油等の燃えやすいものが置かれていない部屋でのタバコの消し忘れも同様に重過失として認定されません。
注意を払わなくてもいい部屋でのタバコの不始末は、不可抗力の火事と認定されます。
3.重過失による火事かどうかが争われた裁判事例
「重過失による火事と認定された事例」と「重過失による火事と認定されなかった事例」をそれぞれご紹介いたします。
どのようなケースが重過失と認定されるのか、またどのようなケースが重過失と認定されないのかご確認ください。
3-1.重過失による火事と認定された事例
重過失による火事と認定された判例は下記の通りです。
- 玩具店の店員が、火気厳禁の場所でタバコを吸っていたら、タバコとセルロイド製品が接触して火事が起きた。
- 炭火が付いている火鉢に、消毒用のメチルアルコールを投入して、火事が起きた。
- 乾燥による火災警報が発令されていたのに、屋根でタバコを吸っていたら、火事が起きた。
- 乾燥による火災警報が発令されていたのに、木屑が散乱している庭で焚き火をしたら、火事が起きた。
- 牛小屋でタバコを吸っていたら、藁に燃え移って、火事が起きた。
- 石油ストーブの火が残っている灰をゴミ集積所に投棄して、火事が起きた。灰をゴミ集積所に投棄した人が重過失として認定された。
- 石油ストーブの火を消さずに給油したら、火事が起きた。
- 鉄骨を切断した際、高温に熱されて溶解した鉄の塊が飛び散って、火事が起きた。
- ストーブの近くに蓋を閉じていない石油を置いていたら、子供が容器を倒してしまって、火事が起きた。親に重過失が認定された。
- 鍋用の小型コンロに火をつけっぱなしで寝て、寝返りした際、毛布がコンロの火に接触してしまい、火事が起きた。
- クリーニング店で、床下の配線不備があるのを知りながら放置していたら、配線の接触不良が原因で火事が起きた。
- 鉄の加工工場で、火を扱う場所の近くにダンボールを置いていたら、燃え移って、大規模な火事が起きた。
- 布団の中にストーブを入れて、コタツ代わりにしていたら、火事が起きた。
- 電線が切れているのを、電力会社の者は把握していたのに、修理を怠ったのが原因で、火事が起きた。
3-2.重過失による火事と認定されなかった事例
重過失による火事と認定されなかった判例は下記の通りです。
- 工場の煙突から火の粉が飛び散って、火事が起きた。
- 浴槽に水を溜めたと思っていたが、栓が閉まっておらず、空焚きになってしまったのが原因で、火事が起きた。
- 寝返りをした際、ベッドから落ちた掛布団がガスストーブ接触して、火事が起きた。
- 仏壇のロウソクが倒れたせいで、畳が燃えてしまい、火事が起きた。
- 焚き火から5m離れた場所に置いてあった石油を倒してしまい、火事が起きた。
- コンセントの差し込み口にホコリが溜まっていたのが原因で火事が起きた。
- 庭の芝生で火事が発生し、自ら消火活動をおこなった。本人は消火できたと思っていたのだが、しっかり消火活動できておらず、1時間後に隣家の庭に燃え移ってしまった。
- 湿度が高い日に、屋根工事の職人が屋根でタバコを吸って、道にポイ捨てしたら、火事が起きた。
- ふすまがストーブに倒れてきて、火事が起きた。
まとめ.火事が起きた場面で重過失かどうか決まる
重過失による火事と認定されるかどうかは、火事が起きた場面で決まります。
注意を払わなくていい場面での不注意が原因で火事が起きた場合は、重過失として認定されません。一方で、注意を払わなくてはいけない場面での不注意が原因で火事が起きた場合は、重過失として認定されます。火元がどういった場面で火事を起こしたのか調べて、重過失があるかどうか見極めましょう。
火事手続きPROは、火事後の損害賠償請求に強い弁護士を完全無料で手配いたします。お気軽にお問い合わせください。
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