「火事を起こしたら、罰金を受けるの?」
「火事を起こしたら、懲役になるのかな?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか?
「罰金」または「懲役」が課されるかは、「出火原因」「被害者の有無」によって異なるため、一概には言えません。
そこで今回は、どういった場合の火事が「罰金」または「懲役」が課されるのか徹底解説いたします。
1.火事が延焼したら「罰金」または「懲役」が課される!
火事が延焼したら、失火罪によって「罰金」または「懲役」が処されます。
1-1.失火の定義
失火とは、火事を起こした過失(不注意)を意味します。火事の原因となった行動を意味する言葉です。
具体的には失火行為は下記の通りです。
- 寝タバコ
- 火の消し忘れ
- 灯油の漏れていた
1-2.2種類の失火罪がある!
失火罪には下記の2種類あります。重過失の有無によって、どちらの罪に問われるかが変わります。
1.失火罪
2.重失火罪
重過失の認定条件はこちらをご覧ください!
分かりづらい!!重過失による火事と認定される条件とは?
1-2-1.失火罪
重過失と認められない失火による火事は失火罪と認定されます。
50万円以下の罰金刑が課されます。懲役または禁固刑は課されません。
1-2-2.重失火罪
重過失または業務上過失の失火による火事は、重失火罪と認定されます。
150万円以下の罰金刑または3年以下の禁固刑が課されます。
注意点
重失火罪と認定された場合は、失火責任法が適用されないため、延焼して損害を与えた隣家や隣部屋から損害賠償請求がされます。
2.火事で人を死亡させたら「罰金」と「懲役」が重くなる
失火による火事で人を死亡させた場合、失火罪に加えて別の罪にも問われるため、課される「罰金」と「懲役」が重くなります。
2-1.3種類の罪に問われる
失火による火事で人を死亡させた場合、下記のいずれかの罪に問われます。
1.重過失致死傷罪
2.業務上過失致傷罪
3.過失致死罪
2-1-1.重過失致死傷罪
重過失の失火による火事で人を死亡させた場合は、重過失致死傷罪に問われます。下記のいずれかの処罰を課されます。
- 5年以下の懲役または禁固刑
- 150万円以下の罰金
2-1-2.業務上過失致死傷罪
業務上の注意を怠り火事を起こした場合は、業務上過失致死傷罪に問われます。下記のいずれかの処罰を課されます。
- 5年以下の懲役または禁固刑
- 100万円以下の罰金
2-1-3.過失致死罪
軽過失の失火による火事で人が死亡した場合は、過失致死罪に問われます。
50万円以下の罰金が課されます。なお、懲役または禁固刑には課されません。
2-2.遺族から慰謝料請求される可能性
失火による火事で人を死亡させた場合は、遺族から慰謝料を請求される可能性があります。
慰謝料は死亡した人の年齢と職業によって変わります。過去の判例では、1,800〜3,400万円の慰謝料請求が認められています。
補足情報
失火による火事で人に障害を与えた場合も慰謝料を請求される可能性があります。
障害の等級によって慰謝料は変わります。過去の判例では、110万円(14級)〜2,800万円(1級)の慰謝料請求が認められています。
3.放火犯に課される「罰金」と「懲役」
放火犯には失火行為をした人よりも厳しい罰が与えられます。
3-1.3種類の罪に問われる
放火犯は下記の3つのいずれかの罪に問われます。何に放火したかによって問われる罪が異なります。
1.現住建造物等放火罪
2.非現住建造物等放火罪
3.建造物等以外放火罪
3-1-1.現住建造物等放火罪
人がいる建物や乗り物に放火をした場合、現住建造物等放火罪に問われます。殺人罪と同等の罪として扱われていて、非常に重い罪です。
下記のいずれかの懲役を課されます。
- 死刑または無期懲役
- 5年以上の懲役
3-1-2.非現住建造物等放火罪
人がいない建物に放火した場合は、非現住建造物等放火罪に問われます。建物が放火犯の所有物かどうかで課される懲役が変わります。
放火犯の所有物ではない・・・2年以上の懲役
放火犯の所有物である・・・6ヶ月以上7年以下の懲役
注意点
建物または乗り物を他人に課している場合は、放火犯の所有物として認められません。
3-1-3.建造物等以外放火罪
人がいない乗り物に放火した場合は、建造物等以外放火罪に問われます。乗り物が放火犯の所有物かどうかで課される刑罰が変わります。
放火犯の所有物ではない・・・1年以上10年以下の懲役
放火犯の所有物である・・・1年以下の懲役または10万円以下の罰金刑
3-2.【要注意】失火が放火と認定される可能性もある
失火と放火は全然違います。
しかし、過去に失火が放火と認定された判例があります。
「事件の概要」と「裁判所の解釈」は下記の通りです。
3-2-1.事件の概要
男性が火鉢の近くにダンボールを置いて居眠りをしていたら、ダンボールに火が燃え移って火事が起きました。この男性は、恐怖のあまり消火活動をおこなわずに逃げ出してしまいました。
3-2-2.裁判所の解釈
「自分の責任で火事が起きたのに消火をしなかった=放火」と裁判所に解釈されたため、放火と認定されました。一切消火活動をおこなおうとしなかったのが、放火を決定付けました。
放火犯の賠償責任はこちらをご覧ください!
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まとめ.火事後に課される「罰金」と「懲役」は状況次第
火事を起こした際に課される「罰金」と「懲役」は状況によって変わります。
重過失がない火事が延焼した場合は、50万円以下の罰金刑で済みます。しかし、「重過失がある場合」や「延焼したことによって人を死亡させた場合」は懲役を受ける可能性があります。
放火犯には、非常に重い刑罰が課されます。特に、人がいる建物や乗り物に放火した場合は、殺人罪と同等の罪が課されます。
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