「車両火災が延焼したら、持ち主も賠償責任を負うの?」
「タバコの不始末が原因で車両火災が起きたら、持ち主は賠償責任を負うの?」
「整備不良が原因で車両火災が起きたら、メーカーは賠償責任を負うの?」
といった疑問をお持ちでしょうか?
失火責任法の適用有無や出火原因によって誰が賠償責任を負うのかが異なるため、一概には言えません。
そこで今回は、車両火災が発生したら誰が責任を負うのか出火原因別に徹底解説いたします。
1.車両火災が延焼しても持ち主に賠償責任なし
下記のいずれかの原因で車両火災が起きていない限り、延焼しても持ち主に賠償責任は生じません。失火責任法が適用されるため、誰も持ち主に賠償責任を問えません。
- 重過失あり
- 故意に火をつけた
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1-1.「重過失あり」と認定される条件
注意を払わなくてはいけない場面での不注意で火事が発生した場合、「重過失あり」と認定されます。
具体的には、下記の通りです。
- 寝タバコ
- 車内での火遊び
- 大量の灯油を積んでいるのに喫煙
1-2.要注意!「故意に火をつけた」とみなされるケース
車両火災が起きた直後に消防へ電話しなかった場合は、「故意に火をつけた」とみなされるため、持ち主に賠償責任が生じます。
※失火責任法とは、「重過失がない火災が延焼しても火元は責任を負わない」と定められた法律です。詳しくはこちらの記事をご覧ください!
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2.【出火原因別】誰が賠償責任を負うの?
下記のいずれかの原因で車両火災が起きた場合、誰かに賠償責任が生じます。
1.重過失あり
2.故意に火をつけた
3.整備不良
4.放火
1〜3の原因で火災が起きた場合は、車両保険が使えません。
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2-1.出火原因1:重過失あり
延焼の有無によって、火災を起きた車両の持ち主に賠償責任が生じるかどうかが変わります。
2-1-1.【重過失あり】延焼なしの場合
延焼しなかった場合は、重過失による車両火災であったとしても持ち主は賠償責任を負いません。ただし、重失火罪に問われるため、150万円以下の罰金または3年以下の禁固刑を言い渡されます。
2-1-2.【重過失あり】延焼ありの場合
延焼した場合は、被害者が受けた損害に対する賠償責任が生じます。
2-2.出火原因1:故意に火をつけた
延焼の有無によって、火災を起きた車両の持ち主に賠償責任が生じるかどうかが変わります。
2-2-1.【故意に火をつけた】延焼なしの場合
延焼がしなかった場合、故意に火をつけたとしても持ち主は賠償責任を負いません。ただし、放火罪に問われるため、罰金または懲役を言い渡されます。
放火罪に課される罰金または懲役はこちらをご覧ください!
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2-2-2.【故意に火をつけた】延焼ありの場合
車両火災が延焼した場合、持ち主には被害者が受けた損害に対する賠償責任が生じます。
2-3.出火原因3:整備不良
新車か中古車かで誰が賠償責任を負うのかが変わります。
2-3-1.新車の場合
整備不良が原因で新車が車両火災を起こした場合、自動車メーカーに賠償責任が生じます。火災が発生した車両の持ち主ともらい火を受けた被害者に対して、自動車メーカーは下記の3つの賠償責任を負います。
- 車の本体価格または修理費用
- 逸失利益
- その他物品費用
2-3-2.中古車の場合
整備不良で中古車が車両火災を起こした場合、中古車販売会社と整備会社の双方または片方に賠償責任が生じます。新車の場合と同様で、「車の販売価格または修理費用」「逸失利益」「その他物品費用」の3つの賠償責任が生じます。
裁判または話し合いで、中古車販売会社と整備会社の賠償責任比率が決まります。
2-3-3.注意点:車検に通っていない場合
車検に通っていない車両が火災を起こした場合、「持ち主に重過失あり」と認定されるため、持ち主に賠償責任が生じます。自動車メーカー・中古車販売会社・整備会社には賠償責任を問えません。
2-4.出火原因4:放火
放火犯には被害者ともらい火を受けた被害者に対して下記の3つの賠償責任が生じます。
- 車の本体価格または修理費用
- 逸失利益
- その他物品費用
なお、被害者ともらい火を受けた被害者は放火犯に慰謝料の請求もできます。
※放火犯が精神病を患っていた場合は、賠償責任を問えません。詳しくはこちらをご覧ください!
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3.車両火災の賠償金を受け取るまでの手順
「火元に重過失あり」「火元が故意に火をつけた」「整備不良」「放火」が原因の車両火災で損害を受けた場合、賠償責任を負っている人から賠償金を受け取れます。車両火災の賠償金を受け取るには、下記のいずれかの方法を取らなくてはいけません。
1.民事裁判
2.示談(裁判所を通さない)
※示談の場合は、賠償金として示談金を受け取ります。
3-1.民事裁判で賠償金を受け取るまでの手順
損害賠償請求の民事裁判を起こして、賠償金を受け取るまでの手順をご説明します。
3-1-1.手順1:弁護士に相談
弁護士に相談をします。
「今後どのような方針で裁判を進めていくか」「賠償金請求額」を決定します。
3-1-2.手順2:民事裁判の申し立て
弁護士が民事裁判の申し立てをします。
その後、裁判が開かれるので、出席して証言を述べます。
3-1-3.手順3:賠償金額決定
下記のいずれかで賠償金額が決定します。
- 裁判官立会いの示談
- 判決
通常であれば、判決で賠償金額が確定します。ただ、被告からの示談の申し立てを受け入れれば、裁判官立会いのもと双方の弁護士が話し合って示談金額が確定します。
「裁判官立会いの示談」「判決」どちらの場合であっても、民事裁判申し立てから3ヶ月程度で賠償金額が決定します。
3-1-4.手順4:賠償金または示談金を受け取る
裁判所から命令された支払い期日までに、被告が原告に賠償金(または示談金)を支払います。
万が一支払いがなかった場合、原告は被告の財産を差し押さえられます。
なお、支払い期日は賠償金額決定から約1ヶ月後です。
3-2.示談で示談金を受け取るまでの手順
民事裁判をおこなわずに賠償責任を負っている人と示談をして、示談金を受け取るまでの手順をご説明します。
3-2-1.手順1:弁護士に相談
弁護士に相談をします。
「今後どのような方針で裁判を進めていくか」「示談金請求額」を決定します。
3-2-2.手順2:示談の申し立て
弁護士から賠償責任を負っている人へ示談の申し立てをします。
双方の弁護士が話し合って、示談金額と支払い期日が決定します。
3-2-3.手順3:示談金を受け取る
支払い期日までに示談金が支払われます。
3-2-4.注意点:当事者同士で金銭のやりとりをしない
当事者同士で金銭のやりとりはしないようにしましょう。
言った言わないの押し問答になるため、トラブルが発生しやすいです。必ず弁護士を立てるようにしてください。
まとめ.車両火災が起きたら誰に賠償責任を問えるのか見極める!
「車両火災が起きて車が損傷した」「車両火災のもらい火で損害を受けた」場合は、一旦冷静になって状況把握に努めましょう。やみくもに動き回っても、誰も賠償責任を負わないのであれば、動き回っただけ分が無駄になってしまいます。
もし、「火元に重過失あり」「火元が故意に火をつけた」「整備不良」「放火」が原因の車両火災で損害を受けたと判明した場合は、すぐに弁護士に相談をして、損害賠償請求手続きを取りましょう。
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