誰にでも分かる!火災損害額の算定方法とは?

誰にでも分かる!火災損害額の算定方法とは?

 

「火災損害額を計算するなんて無理」

「損害額はどうやって算定するのか分からない」

「損害額の計算方法が難しすぎる」

とお悩みではないでしょうか?

 

火災損害額を基に保険金が支給されます。

ただ、火災損害額の算定方法はネットで検索すれば出てきますが、どれも難しく書かれているため、専門知識がない人が読んでも何と書いているのか分かりません。

 

そこで今回は、「火災損害額の定義」と「火災損害額の算定方法」を徹底解説いたします。

 

 

1.算定方法を知る前に!火災損害額の定義とは?

火災損害額とは、火災によって受けた直接的損害額を意味します。

火災損害額は下記の式で表せられます。

  • 火災損害額=焼き損害+消火損害

 

1-1.焼き損害とは?

焼き損害とは、「建物」「家財」「商品」が火事で焼けたことによって受けた損害額です。

具体的な焼き損害は下記の通りです。

  • 焼け焦げた屋根
  • 焼けて使えなくなった冷蔵庫
  • 熱によって変形したパイプ

 

1-2.消火損害とは?

消火損害とは、「建物」「家財」「商品」が消火活動によって受けた損害額です。

具体的な消火損害は下記の通りです。

  • 放水によって開いた壁の穴
  • 濡れて使えなくなった家電
  • 温度の急激な変化による家電の故障

 

1-3.注意点:間接損害は含まれない

火災損害額に間接損害は含まれません。

具体的には、下記の損害は火災損害額に含まれません。

  • 火事によって受けた利益損失
  • 火事によって生じた外泊費用

 

2.火災損害額の算定方法

「建物」「家財」「商品」の火災損害額の合計が、火災損害額です。

「建物」「家財」「商品」で火災損害額の算定方法が異なるため、それぞれの一般的な火災損害額算定方法をご説明いたします。

※保険会社によって火災損害額算定方法が微妙に違う場合があります。

 

2-1.建物の火災損害額算定方法

建物の火災損害額は、3つの手順を踏んで算定します。

 

2-1-1.手順1:建築取得価格を算出

建築取得価格の計算式は下記の通りです。

  • 建築取得価格=1㎡当たりの建築取得価格×床面積

下表は1㎡当たりの建築取得価格(単位千円)です。家の構造別・建築年別に記載されています。

建築年 構造
木造 鉄骨鉄筋
コンクリート造
鉄筋
コンクリート造
鉄骨造
昭和50年 67.7 126.4 97.4 60.5
昭和51年 70.3 114.6 98.2 62.1
昭和52年 74.1 121.8 102.0 65.3
昭和53年 77.9 122.4 105.9 701.
昭和54年 82.5 128.9 114.3 75.4
昭和55年 92.5 149.4 129.7 84.1
昭和56年 98.3 161.8 138.7 91.7
昭和57年 101.3 170.9 143.0 93.9
昭和58年 102.2 168.0 143.8 94.3
昭和59年 102.8 161.2 141.7 95.3
昭和60年 104.2 172.2 144.5 96.9
昭和61年 106.2 181.9 149.5 102.6
昭和62年 110.0 191.8 156.6 108.4
昭和63年 116.5 203.6 175.0 117.3
平成元年 123.1 237.3 193.3 128.4
平成2年 131.7 286.7 222.9 147.4
平成3年 137.6 329.8 246.8 158.7
平成4年 143.5 333.7 245.6 162.4
平成5年 1509. 300.3 227.5 159.2
平成6年 156.6 262.9 212.8 148.4
平成7年 158.3 228.8 199.0 143.2
平成8年 161.0 229.7 198.0 143.6
平成9年 160.5 223.0 201.0 141.0
平成10年 158.6 225.6 203.8 138.7
平成11年 159.3 220.9 197.9 139.4
平成12年 159.0 204.3 182.6 132.3
平成13年 157.2 186.1 177.8 136.4
平成14年 153.6 195.2 180.5 135.0
平成15年 152.7 187.3 179.5 131.4
平成16年 152.1 190.1 176.1 130.6
平成17年 151.9 185.7 171.5 132.8
平成18年 152.9 170.5 178.6 133.7
平成19年 153.6 182.5 185.8 135.6
平成20年 156.0 229.1 206.1 158.3
平成21年 156.6 265.2 219.0 169.5
平成22年 156.5 226.4 205.9 163.0
平成23年 156.8 238.4 197.0 158.9
平成24年 157.6 223.3 193.9 155.6
平成25年 159.9 258.5 203.8 164.3
平成26年 163.0 276.2 228.0 176.4
平成27年 165.4 262.2 240.2 197.3

※事業用の場合は、購入価格が建築取得価格となります。

 

2-1-2.手順2:現在時価を算出

現在時価の算出方法は非事業用と事業用で異なります。

 

2-1-2-1.非事業用の現在時価算出方法

非事業用の現在時価算出式は下記の通りです。

  • 現在時価=建物取得価格−建物取得価格×9×償却率×経過年数

下表は構造別の償却率です。

構造 償却率
木造 0.031
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
0.015
軽量鉄骨造 0.025

※経過年数が端数の場合、6ヶ月以上は1年に切り上げて計算します。6ヶ月未満の場合は切り下げて計算をします。

 

2-1-2-2.事業用の現在時価算出方法

事業用の現在時価算出式は下記の通りです。

  • 現在時価=購入価格−購入価格×償却率×経過年数

下表は構造別の償却率です。

構造 用途 償却率
木造 事務所用 0.042
店舗用・住宅用 0.046
飲食店用 0.050
車庫用 0.059
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
事務所用 0.020
住宅用 0.022
飲食店用 0.025
店舗用 0.026
車庫用 0.027
軽量鉄骨造 事務所用 0.034
店舗用・住宅用 0.038
飲食店用・車庫用 0.040

※住宅用とは、賃貸マンションを指します。

※記載している軽量鉄骨の償却率は、骨格材が3mm以上4mm以下の場合の償却率です。。

 

2-1-3.手順3:建物の火災損害額を算出

下記の式で建物の火災損害額を算出します。

  • 建物の火災損害額=現在時価×(焼失床面積+消火活動によって損害を負った床面積)÷床面積

※「焼失床面積」と「消火活動によって損害を負った床面積」で被っている面積は重複して計算しません。

 

2-2.家財の火災損害額算定方法

下記の式で家財の火災損害額を算出します。

  • 家財の火災損害額=購入価格−購入価格×経過年数÷法定耐用年数

下表は家財別の法定耐用年数です。

品目 用途または素材 法定耐用年数
事務机・事務椅子 金属製 15
その他 8
応接セット 接客業用 5
その他 8
複合機 5
ビジネスフォン 6
ベッド 8
寝具 3
児童机 5
エアコン 6
冷蔵庫 6
テレビ 5
電子レンジ 6
洗濯機 6

 

※経過年数が端数の場合、6ヶ月以上は1年に切り上げて計算します。6ヶ月未満の場合は切り下げて計算をします。

 

2-3.商品の火災損害額算定方法

売り物にならない商品の仕入れ値の合計が火災損害額となります。

売値ではないのでご注意ください。

 

3.過去の火災損害額算定事例

過去に算定された火災損害額の事例を3つご紹介いたします。

 

3-1.事例1:築16年の木造住宅での火災

条件は下表の通りです。

構造 木造
建物の経過年数 16年
床面積 110㎡
焼失面積 5㎡
壊れた家財 冷蔵庫(購入価格39万円・経過年数2年)

 

3-1-1.建物の火災損害額

159,000(円/㎡)×110(㎡)=17,490,000(円)・・・建築取得価格

17,490,000(円)−17,490,000(円)×0.9×0.031×16(年)=9,682,464(円)・・・現在時価

9,682,464(円)×5(㎡)÷110(㎡)=440,112(円)・・・建物の火災損害額

 

 

3-1-2.家財の火災損害額

390,000(円)−390,000(円)×2(年)÷6(年)=260,000(円)

 

3-1-3.合計火災損害額

440,112(円)+260,000(円)=700,112(円)

 

3-2.事例2:築9年の鉄筋コンクリート造住宅での火災

条件は下表の通りです。

構造 鉄筋コンクリート造
建物の経過年数 9年
床面積 174㎡
焼失面積 97㎡
家財の火災損失額  5,200,000円

 

3-2-1.建物の火災損害額

185,800(円/㎡)×174(㎡)=32,329,200(円)・・・建築取得価格

32,329,200(円)−32,329,200(円)×0.9×0.015×9(年)=28,401,202(円)・・・現在時価

28,401,202(円)×97(㎡)÷174(㎡)=15,832,854(円)・・・建物の火災損害額

 

3-2-2.合計火災損害額

15,832,854(円)+5,200,000(円)=21,032,854(円)

 

3-3.事例3:築11年の一棟マンションでの火災

八百屋が所有していた一棟マンションでの火災です。

条件は下表の通りです。

構造 鉄筋コンクリート造
建物の経過年数 11年
床面積 264㎡
焼失床面積 190㎡
消火活動によって損害を負った床面積 21㎡
購入価格 240,000,000円
野菜の仕入れ価格  920,000円

 

3-2-1.建物の火災損害額

240,000,000(円)−240,000,000(円)×0.022×11(年)=181,920,000(円)・・・現在時価

181,920,000(円)×(190(㎡)+21(㎡))÷264(㎡)=145,398,182(円)・・・建物の火災損害額

 

3-2-2.合計火災損害額

145,398,182(円)+920,000(円)=146,318,182(円)

 

まとめ.火災損害額の算定は誰でもできる!

手順通りにやれば、火災損害額の算定は誰でもできます。桁数が多いですが、計算機があれば小学生でもできます。「私にはできない」「数学が苦手」という理由で初めから諦めるのではなく、一つ一つ手順を踏んで計算していきましょう。

 

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