焼死以外も存在!火事での死亡原因は?

焼死以外も存在!火事での死亡原因は?

 

「火事での死亡原因は何なの?」

「何が原因の火事で死亡するの?」

「どういった経緯で死亡するの?」

と疑問に思っていないでしょうか?

 

「火事での死亡原因は火傷」と思っている方も多いですが、実は他にも死亡原因は存在します。また、火事での死亡には様々な間接要因も存在します。

 

そこで今回は、火事での死亡原因を徹底解説いたします。

 

1.火事での死亡原因

平成29年の建物火災による死者は1,142人でした。

建物火災における死亡原因別の死者数は下表の通りです。

死亡原因 死者数(比率)
焼死 719人(63%)
一酸化炭素中毒 263人(23%)
火傷 91人(8%)
骨折・打撲 33人(2.9%)
ショック 26人(2.3%)
酸素欠乏 6人(0.53%)
不詳 4人(0.35%)

 

1-1.死亡原因1:焼死

焼死が一番多い死亡原因となっています。

ただ、肉体が焼けたのが直接的死因ではありません。直接的死因は有毒ガスの吸入過多です。有毒ガスによって死亡した後に炎で肉体が焼かれることから、「焼死」と表しています。

 

1-2.死亡原因2:一酸化炭素中毒

一酸化炭素中毒による死亡は2番目に多い死亡原因となっています。

建物火災の場合、炎に十分な酸素を送り込めないため、一酸化炭素が発生します。その結果、一酸化炭素中毒に陥り死亡します。

 

1-3.死亡原因3:火傷

火傷による死亡は8%と案外少ないです。

焼死とは意味が異なります。火傷による死亡は、肉体が焼けたのが直接的死因です。

 

1-4.死亡原因4:骨折・打撲

物または建物に接触したのが原因の死亡を指します。

具体的には、下記のような事例です。

  • 焼けた天井が頭に落ちてきた
  • 逃げようとしたらタンスが倒れてきた
  • 逃げようと階段を降りていたら転倒した

 

1-5.死亡原因5:ショック

ショックを受けたのが原因の死亡を指します。

「火事が起きた」「もう助からない」といった強いショックを受けると、人間はパニック状態になって死亡します。

 

1-6.死亡原因6:酸素欠乏

酸素が吸入できなくなったのが原因の死亡を指します。

炎が建物内の酸素を使ってしまうため、建物内の酸素濃度が低下します。その結果、酸素不足に陥り死亡します。

 

2.死亡に至った火事の出火原因

平成29年の死亡に至った建物火災の件数は1,021件でした。

建物火災における死亡に至った火事の出火原因は下表の通りです。

出火原因 件数(比率)
不慮の火災 572件(56%)
自殺 204件(20%)
殺人 31件(3%)
その他 20件(2%)
不詳 195件(19%)

 

2-1.出火原因1:不慮の火災

不注意での起きた火災を指します。

具体的な事例は下記の通りです。

  • 揚げ物をしているときに火が上がった
  • 漏電によって火災が起きた
  • 寝タバコによって火災が起きた

 

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2-2.出火原因2:自殺

自殺による放火を指します。

「人間関係の悩み」や「仕事上のトラブル」が原因で放火をして自殺をします。

 

2-3.出火原因3:殺人

殺害するための放火を指します。

放火犯が被害者に恨みを持ち、放火をします。放火による殺人犯は、他の殺人犯よりも強い恨みを抱いているケースが多いです。

 

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2-4.出火原因4:その他

殺人以外の他人が原因の火災を指します。

具体的な事例は下記の通りです。

  • 隣家からのもらい火
  • 花火が建物に落下

 

3.火事で死亡に至るまでの経緯

平成29年の放火による自殺者を除いた火事での死者数は889人でした。

放火による自殺者を除いた死亡に至るまでの経緯は下表の通りです。

死亡までの経緯 死者数(比率)
逃げ遅れ 496人(55.8%)
着衣着火 80人(9.0%)
出火後再突入 16人(1.8%)
その他 31人(3.5%)
不詳 266人(29.9%)

 

 

3-1.経緯1:逃げ遅れ

火事で死亡に至るまでの経緯で一番多かったのは「逃げ遅れ」です。

高齢者が逃げ遅れるケースが多いです。また、逃げ遅れでの死亡者の95%は「焼死」が原因です。

 

3-2.経緯2:着衣着火

「着衣着火」は就寝中の火事での死亡に多い経緯です。

就寝中であるため、逃げる初動が遅れます。その結果、逃げる前または逃げる途中に着衣に着火して、火傷が原因で死亡します。

 

3-3.経緯3:出火後再突入

逃げ遅れた「子供」や「親」を助けに行く成人男性に多い死亡の経緯です。

建物の既に火が大きくなっているため、建物内は有毒ガスが蔓延しています。建物が大きい場合や進路が塞がれた場合に、有毒ガスの吸入過多によって死亡します。

 

4.火事での死者の年齢

建物火災における死者の年齢は下表の通りです。

死者の年齢 死者数(比率)
80歳以上 251人(22%)
70歳代 217人(19%)
60歳代 217人(19%)
50歳代 183人(16%)
40歳代 103人(9%)
30歳代 80人(7%)
20歳代 46人(4%)
10歳代 23人(2%)
10歳未満 22人(2%)

※建物火災における死者数1,142人

 

高齢者になるほど火事で死亡する割合が高いです。高齢者は肉体的に弱いため、逃げ遅れるケースが多く、「焼死」または「一酸化炭素中毒」によって死亡します。

乳幼児も火事で死亡する割合は高いと思われがちです。しかし、親が抱えて避難をするため、死亡する割合は非常に少ないです。

 

5.火事での死亡原因のまとめ

火事での死亡原因で最も多いのは、「焼死」です。ただし、肉体が焼けて死亡したわけではなく、有毒ガスの吸入過多によって死亡をしています。また、高齢者になればなるほど、逃げ遅れる可能性が高いため、火事で死亡する割合が高いです。

出火原因は、不慮の火災が56%と最も多いですが、自殺による放火も20%を占めています。

 

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