マンション火災で部屋が全焼した方は、下記の疑問をお持ちではないでしょうか?
「どのような対応を取ればいいの?」
「保険金はいくら支給されるの?」
「どこまで賠償責任を負えばいいの?」
これらの疑問が生じる理由は下記の通りです。
「どのような対応を取ればいいの?」という疑問が生じる理由
マンション火災で部屋が全焼した後は、取るべき手続きも多すぎて、どのような対応を取ればいいのか分からない。
「保険金はいくら支給されるの?」という疑問が生じる理由
火事になった人が周りにいないので、聞いても教えてくれる人がいない。
「どこまで賠償責任を負えばいいの?」という疑問が生じる理由
理由1:火災原因によって賠償責任が異なる。
理由2:出火させた人が責任を負わなくてはいけないと思い込んでいる。
そこで今回は、マンション火災で部屋が全焼した際に必要となる4つの知識を下記の順番で徹底解説いたします。
1.賠償責任
2.保険金支給額
3.事後対応
4.注意点
※全焼だと思ったら半焼だったというケースがよく起こります。読み進める前に、本当に全焼の基準を満たしているのか確認しましょう。
全焼と半焼の違いを誰にでも分かるように解説!
1.マンション火災で部屋が全焼した際の賠償責任
「隣部屋」「上の階」「下の階」「共有部分」への賠償責任は重過失の有無によって異なります。
※重過失の認定条件はこちらをご覧ください!
分かりづらい!!重過失による火事と認定される条件とは?
※賃貸マンションでの火災で部屋が全焼した場合、原状回復責任が生じます。これ以降を読み進める前にこちらをご覧ください!
賃貸マンションで火災が!借主がリフォームしないといけないの?
1-1.重過失なしの場合
「隣部屋」「上の階」「下の階」「共有部分」への賠償責任は一切ありません。
民法709条の失火責任法により、重過失がない火災には賠償責任がないと定められています。
1-2.重過失ありの場合
「隣部屋」「上の階」「下の階」「共有部分」が火災によって受けた損害に対して賠償責任を負わなくてはいけません。損害を受けた人から損害賠償請求された後に、裁判所から賠償金の支払い命令が出ます。
損害賠償請求事例はこちらをご覧ください!
知らなかった!もらい火による火事は損害賠償請求できない!?
借主が賠償金を支払きれなかった場合は、連帯保証人が肩代わりします。
賃貸物件で火事が!連帯保証人はどこまで責任を負うの?
2.マンション火災で部屋が全焼した際の保険金支給額
持ちマンションと賃貸マンションで損害を補償する保険が異なります。それぞれの場合の保険金支給額をご説明いたします。
焼損別の保険金支給額はこちらをご覧ください!
賃貸マンション・賃貸オフィスで火災が!その後取るべき手続きとは?
2-1.持ちマンションの場合
加入している火災保険が損害を補償します。
火災直前の資産評価額(=火災直前の建物評価額+火災直前の家財評価額)を上限に契約している保険金が全額支給されます。
下記の2つの具体例を用いて、いくら保険金が支給されるのかご説明いたします。
1.契約している保険金2,000万円・火災直前の資産評価額2,500万円の場合
2.契約している保険金2,000万円・火災直前の資産評価額1,500万円の場合
2-1-1.具体例1:契約している保険金2,000万円・火災直前の資産評価額2,500万円の場合
契約している保険金が火災直前の資産評価額よりも少ないため、契約している保険金が全額支給されます。つまり、保険金支給額は2,000万円です。
2-1-2.具体例2:契約している保険金2,000万円・火災直前の資産評価額1,500万円の場合
契約している保険金が火災直前の資産評価額よりも多いため、火災直前の資産評価額が保険金として支払われます。つまり、保険金支給額は1,500万円です。
※持ちマンションが全焼した際の火災保険の「補償範囲」「補償額」「注意点」「その後の契約」はこちらの記事で詳しくご説明しております。
火事で家が全焼!支給される保険金はどれくらい?
2-2.賃貸マンションの場合
賃貸マンションの部屋が全焼した場合、建物の損害と家財の損害を補償する保険が異なります。
2-2-1.建物の損害に対する保険金支給額
下記の保険のいずれかまたは両方が補償します。
1.借家人賠償保険
2.貸主が加入している火災保険
借家人賠償保険が火災直前の建物評価額を上限に契約している保険金を全額支給します。火災直前の建物評価額が契約している保険金を上回っていた場合、貸主が加入している火災保険が、上回っていた分(=火災直前の建物評価額−契約している保険金)を保険金として支給します。
2-2-2.家財の損害に対する保険金支給額
加入している火災保険が損害を補償します。
火災直前の家財評価額を上限に契約している保険金が全額支給されます。
損害額の計算方法はこちらをご覧ください!
誰にでも分かる!火災損害額の算定方法とは?
3.マンション火災で部屋が全焼した際の事後対応
マンション火災で部屋が全焼した後に必ず取るべき4つの対応をご説明いたします。
ご説明する5つの対応は下記の通りです。
1.下の階と隣部屋へのお詫び
2.管理会社または貸主へのお詫び
3.原状回復工事
4.保険金請求手続き
3-1.対応1:下の階と隣部屋へのお詫び
必ず下の階と隣部屋にお詫びに行きましょう。
3-1-1.隣部屋に謝りに行く理由
部屋が全焼したらほとんどの場合、隣部屋にも被害は及びます。
万が一被害を与えていなかったとしても、火事によって隣部屋の住民に恐怖感を与えてしまっています。
3-1-2.下の階へ謝りに行く理由
消火活動に使用した水が下の階に浸水するため、下の階も水浸しになっています。
※火災で部屋が水浸しになった際の下の階への影響はこちらをご覧ください!
マンション火災で部屋が水浸し!下の階への影響は?保険は使える?
3-2.対応2:管理会社または貸主へのお詫び
持ち家であれば管理会社に、賃貸物件であれば貸主にお詫びに行きましょう。
部屋が全焼したのであれば、共有部分に下記のような被害が及びます。1部屋が全焼した際に管理会社または貸主が支払う修復費用は平均1,000万円です。
被害1:外壁が煤で黒くなった
被害2:水漏れによる配線設備不良
被害3:玄関ドアの破損(玄関ドアは共有部分に含まれる)
3-3.対応3:原状回復工事
なるべく早く原状回復工事を始めましょう。
部屋が全焼した場合、消火後も、隣部屋や下の階の住民に「異臭」や「水漏れ」等の迷惑をかけ続けます。なるべく早くリフォームをして、これらの迷惑を解消しましょう。
3-4.対応4:保険金請求手続き
なるべく早く保険金請求手続きを取りましょう。
保険金支給額が想像以上に少なくて、原状回復費用を支払えないといった事態を防ぐために、下記の順番で原状回復工事を始めます。
「原状回復工事の見積もりを取る→保険金支給→原状回復工事開始」
なるべく早く保険金を受け取って、原状回復工事を始めましょう。
※全焼後の保険金請求手続きの流れはこちらをご覧ください!
火事で家が全焼!必ず取らなくてはいけない手続きを徹底解説!
※火災保険の申請代行をするリフォーム業者は違法の可能性があります!
火災保険の申請代行は違法?それとも合法?
4.マンション火災で部屋が全焼した際の3つの注意点
マンション火災で部屋が全焼した際の3つの注意点をご説明いたします。
ご説明する3つの注意点は下記の通りです。
1.管理会社が依頼できるリフォーム会社を指定してくる
2.管理会社が原状回復費用を請求してくる
3.近隣住民が原状回復費用を請求してくる
4-1.注意点1:管理会社が依頼できるリフォーム会社を指定してくる
リフォームしようとした際に、管理会社から「ここのリフォーム会社以外でのリフォーム以外は認めない」といった通達を受けるケースがあります。
こういった通達を受けても応じない方がいいでしょう。万が一、指定されたリフォーム会社に依頼した場合、相場よりも高額な費用を請求されます。競合する可能性がないので、リフォーム会社も費用を高く設定しているからです。
どうしても指定したリフォーム会社に依頼しなければいけない場合は、相見積もりを取れるように交渉しましょう。
4-2.注意点2:管理会社が原状回復費用を請求してくる
重過失による火事ではないのに、管理会社が共有部分の原状回復費用を請求してくるケースがあります。
請求を受けた場合は、必ず断るようにしましょう。失火責任法により、重過失がないのであれば共有部分の賠償責任を負う必要はありません。管理会社も失火責任法の存在を知っていますが、「払ってくれたらラッキー」といった感覚で請求してきます。
4-3.注意点3:近隣住民が原状回復費用を請求してくる
隣部屋や下の階の住民が原状回復費用を請求してくれるケースがあります。
請求を受けた場合は、必ず断るようにしましょう。隣部屋や下の階の住民は失火責任法の存在を知らずに請求してきていますので、失火責任法の存在をお伝えしましょう。
まとめ.マンション火災で部屋が全焼しても冷静な対応を!
マンション火災で部屋が全焼しても、「隣部屋」「下の階」「共有部分」への賠償責任を負う必要はありません。また、保険金は資産評価額を上限に全額支給されます。事後対応も整理すれば非常に簡単です。パニックになる必要は一切ありません。冷静に対応しましょう。
マンション火災後の資産価値の変化はこちらをご覧ください!
マンションで火事が起きたら資産価値はどうなるの?
火事手続きPROが、全焼後の原状回復経験豊富な業者を完全無料で手配いたします。お気軽にお問い合わせください。
TEL:03-6869-5178(24時間365日受付)